『ヤコブは近づいて、彼に口づけした。イサクは、ヤコブの着物のかおりをかぎ、彼を祝福して言った。「ああ、わが子のかおり。主が祝福された野のかおりのようだ。』
(創世記26:22)
イサクは愛する長子エサウに、自分が父アブラハムから譲り受けた祝福を与えようと願いました。しかし、イサクの妻リベカは弟のヤコブを愛しており、彼に祝福を与えたいと考えたのです。リベカはヤコブにエサウの格好をさせ、祝福を受ける条件を全て整え、ヤコブえを継承者とならせたのです。
さて、先日はプリムでした。ユダヤ人が迫害を逃れたことを記念する祭りです。プリムでは仮面を着けるようですが、エステルも自分がユダヤ人であることを隠して王妃となりました。
ハマンという人が、ユダヤ人を滅亡させようと企みます。しかし、エステルが王さまにユダヤ人の救いを嘆願したことにより、民は救われたのです。彼女は身分を明かし、自分が王妃となったのはこのときのためだと、決死の覚悟で行動しました。
シアトル・バイブル・カレッジの教授であったユダヤ人クリスチャンのルース女史は、イエスさまは「肉の仮面」をつけてこの地に来られたと言います。主は十字架で一度死に、世を救うために神である姿を捨てられたのです。保身のためではありません。
そして、主は信じる者の姿を整え、罪に支配されることなく恵みの下に置かれました(ローマ6:14)。エステルが宦官ヘガイにより姿を整えられて王の好意を得たごとくに、私たちは神に好意を持たれ、神の前に出てとりなす立場とされたのです。
また、私たちは長子としても天に登録されています(ヘブル12:23)。ヤコブは長子の祝福を奪うために兄の姿になりすましました。全被造物より最初に生まれた長子・イエスさまも肉の姿をまとって来られました。しかし、長子の祝福を奪うのでなく与えるために、主は人の姿をとられたのです(コロ1:15)。
聖書において、長子は財産を二倍受けるだけでなく、神に属する特別な存在です(申命21:17)。長子は父なる神の力によって生まれた初穂であり、神の国を建て、実を結ぶのです。
感染症、戦争や災害と、暗闇が広がっているように思えます。しかし、私たちはその暗闇に飲み込まれる存在ではありません。ユダヤ人の希望の星となったエステルのように、まことの光であるイエスさまの輝きをこの地に照らす存在として、主により召されているのです。エサウのように長子の権利を軽んじて失うことなく、喜んで受け、主に用いていただきましょう。
『こういうわけで、私たちは揺り動かされない御国を受けているのですから、感謝しようではありませんか。こうして私たちは、慎みと恐れとをもって、神に喜ばれるように奉仕をすることができるのです。』(ヘブル12:28)
(文責:朋子)
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